仕事(WORKING)!
皆さま、こんにちは。
プロバンクのお局コーディネーターこと岸波です。
急速に秋が深まってまいりました。北海道で初雪!というニュースに触れるに至り、もはや年の暮れへと思いをはせておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
暦の上ではまだ秋なので、今回は“読書の秋”をテーマにお送りしたいと思います。
というのものですね、わたくしただいま『仕事(WORKING)!』という大長編に取り組んでいるのです。
『仕事(WORKING)!』は、スタッズ・ターケルという米国の方が編まれた、米国では1972年に、邦訳は1983年に出版されたという、そこそこ古い書籍です。タイトルの通り仕事に関する本で、上下2段組、700ページ。少なくとも日本では絶版のようなのですが、幸いにも地元の図書館で借りることができました。
内容としては、著者が115の職業、133人の実在人物にインタビューした内容を書き起こした談話集、にあたると思います。
これは仕事についての本である。まさにその性質上、暴力について-からだ的にも精神的にも-の本だ。
(中略)一日を生きのびられたということは、われわれ、多くのなかで歩きつづけている傷ついたものにとって、勝利といってよい。
―序文より
序文がこれで、衝撃に目がくらんだのが読み始めたきっかけです。また、内容も、職業名などどうしても古めかしい箇所や表現はありますが、『専業主婦』にもインタビューしている点、令和のいまも読む価値のある斬新な本だと感じます。
日本に入ってきたのは80年代初頭ですが、当時この本を読んだ人はどう思ったのだろう、と想像するだけでいろいろ考えることができちゃいますよね。
この本には専業主婦だけでなく、大企業の重役から公的には“違法”となる職業まで本当に幅広い職業を網羅しています。まだ読み途中ではありますが、はためには「花形」といわれるような職業の人が自分の仕事を「ほんとうにバカみたいな仕事よ。こんなのサルだってできるわ」とうそぶき、おそらく今はほぼなくなってしまったような職業の人が「息子は同じ仕事をしないと思うけど」と冷静に受け止めつつ「それでも俺はこの仕事を誇りに思っている」と語る。そこに私は長い歴史を経ても変わらない「はたらくこと」の本質があると感じるのです。
憧れの仕事にも「バカみたい」なところはきっとあり、消えゆく仕事であっても「誇りに思える」ことはきっとある。
大切なのは、「何の仕事に就くか」よりも、「どのようにはたらくか」なのではないかな、と思うのでした。
そんなふうにして『仕事(WORKING)!』を読み進めつつ、次は「ブルシット・ジョブ」を読むつもりです(これも長編・・・)。
https://www.iwanami.co.jp/book/b515760.html
せっかくの秋の夜長。ふだん読まないような本を手に取ってみるのも面白いかもしれません。
引き続き、自愛してお過ごしください。