雇用形態による不条理について語ろう
やまうみ商事(仮)で、Aさんは正社員、Bさんは契約社員として同じ事務の仕事をしています。
二人とも管理職ではないため、仕事で求められる成果や責任は一緒ですが、
周囲からBさんは気遣いもできるし仕事も早いと評価されています。
しかし月給を比べるとAさんは30万円、Bさんは25万円。
Aさんは正社員なので退職金あり、Bさんは契約社員なので退職金はなし。
Aさんは雇用の定めがなく、Bさんは半年更新。
仕事のパフォーマンスではなく、雇用形態(正規・非正規)による差は、
人に不条理の気持ちをいだかせます。
Bさんはこのままお仕事を続けるのでしょうか?
やまうみ商事はBさんの処遇に手を打たないのでしょうか?
さて、上記のようなケースは、
人材サービス業に携わっているとよく相談を受けるケースであり、
そのたびに考えさせられるテーマですが、先日、その是正に向けて政府もようやく本腰を入れ始めたようです。
「ニッポン一億総活躍プラン」のひとつとして、正規・非正規の雇用形態の違いだけを理由とした賃金格差をなくす「同一労働同一賃金」の実現が目指されており、2016年4月7日に自民党が「同一労働同一賃金」の原案を政府に提出しました。パートや派遣社員など非正規労働者について、「昇給制度の導入」、「手当・福利厚生の格差是正」、「最低賃金の引き上げ」などを目指し、ガイドラインの作成や法整備を進めるべきだとの考えを盛り込み、正社員との賃金格差を欧州並みにすることも掲げた。
(引用:ヨミウリ・オンライン「非正規に昇給制度…同一労働同一賃金で自民原案」)
欧米では、職種別労働市場(雇用形態ではなく職種別に賃金が決まっている)が主流のため、
雇用形態での賃金格差は少ないようですが、日本では年功序列が根強く、
正社員神話はまだまだ残っており、同一労働同一賃金への道は困難を極めそうではあります。
それでも、政府が賃金格差への是正に本腰を入れ始めていることは、
非正規で働かれている方にとっては少しの希望になるのではないかと思います。
同一労働同一賃金の機運が高まれば、賃上げや雇用条件の改善を図る可能性が増え、
雇用形態にとらわれない自由な働き方が実現できるかも知れません。
まずは、政府がこの問題をガイドライン(指針)とするだけにするのか、
法律に盛り込んでいくかの趨勢をみていきましょう。